Study Part1 〜卒業研究です〜

山地森林小流域におけるkinematic wave法による流出解析

前橋工科大学 建設工学専攻 砂口真澄
前橋工科大学 建設工学科   土屋十圀

1.研究を行うキッカケ

 日本は梅雨や台風などの影響を受けて、洪水の被害を受けることが多いです。実際に私も高校最後の文化祭前日東海豪雨に遭遇し、一晩、車の中で過ごしたという経験があります(^^;)また、日本の河川は急勾配で流路が短く、流域面積が小さいという特徴から、降雨は短期的に流出するため流出する時間がとっても短い!!です。
 森林は、洪水を抑える機能(洪水緩和機能と言います)を持ってると言われていて、その機能が洪水の多い近年、注目されています。
 降雨の河川への流出現象は流域特性によっても変化するたので、河川への流出量は降雨の状態と流出特性によって決定!!するのです。
 そんなことから、流域特性の中でも特に土壌植生、及びその管理方法の違いに着目し、流出現象の違いを把握し、洪水緩和機能の評価を行うことを目的に、群馬県利根郡川場村の田代川流域と群馬県吾妻郡長野原町の笹沢3号流域という2箇所の場所でkinematic wave法を用いて、比較、検討を行ってみました(^0^)。

2.対象流域の概要

田代川流域笹沢3号流域
流域面積 5.164km2 0.152km2
平均勾配 1/6.67 1/3.86
A層の深さ 約170o 約525o
土地利用状況 森林(ナラ、スギ、ヒノキの人工林)が90%以上を占め、果樹園が約4%、その他を水田、畑地、民家などが占めています。 ほぼ100%森林に覆われていて、流域の約62%がカラマツ、残りの約38%が上木にカラマツ、下木にスギやヒノキを植林した人工の複層林となっています。

3.kinematic wave法とは…

 kinematic wave法とは、流域をいくつかの矩形斜面と流路が組み合わされたものとみなし、これらを斜面や流路における降雨流出現象を、水流の運動法則連続の関係を用いて水理学的に追跡するものです☆kinematic wave法は、流域斜面からの流出現象をManning型の平均流速公式で表し、この斜面と流路を組み合わせた流域から流出ハイドログラフが実測ハイドログラフに近づくように粗度係数を決定することから、等価粗度法とも言われています!!
 単位幅の斜面の流量をqとし、Manningの式を代用してqを表すと運動方程式(1)が得られます。
q=(1/N)×h5/3×s1/2   -(1)
ここで、q:斜面流量(m3/s)、N:等価粗度係数、h:水深(m)、S:水深(m)
 次に、Δxの斜面長における微小時間Δtの水収支を考えると、連続の式(2)が得られます。
re=(δh/δt)+(δq/δx)     -(2)
ここで、re:有効雨量(o/h)
*有効雨量とは、地中へ浸透しきれなかった地表面を流れる雨水のことだよ!!

4.考察

1)流出率
 横軸に総降雨量、縦軸に流出率(降った雨が河川に流出する割合)のグラフを描いたところ、両流域とも総降雨量が増加するに従って流出率も増加しました。また、総降雨量が田代川流域では約150o、笹沢3号流域は約250o付近で傾きが変化しました。そして、両流域とも変化点後の傾きの方が大きくなりました!これは、流域の持つ保水能力の限界を表していると考えられます。また、変化点前後において田代川流域の傾きの方が大きくなりました!!これはA層の深さ、流域の地形、植生管理の違いに寄与していると考えられました。
 したがって、複層林管理の笹沢3号流域の方が人工林管理の田代川流域よりも洪水緩和機能の特徴を顕著に表していると推測できました

2)初期損失量
 横軸に総降雨量、横軸に初期損失量(初めの頃に降った雨が、土の隙間や樹木に吸収される量)のグラフを描いたところ、総降雨量50o以下では両流域に大きな違いは見られませんでした(>_<)。しかし、50oを超えると両流域の差は次第に大きくなり、田代川流域は初期損失雨量約25o、笹沢3号流域は約40o付近で収束すると読み取ることができました。この収束値は初期損失量の限界値を表していると考えられ、この値の違いは流出率同様、植生管理の違いやA層の深さが影響していると考えられました。
 したがって、笹沢3号流域の初期損失雨量の大きいことも、流出抑制に寄与し、洪水緩和機能の特徴を現していると推測できました

5.まとめ

 流出率、初期損失量は、流域のA層厚、地形、植生管理などが影響することがわかりました。
 複層林管理の笹沢3号流域は、流出率、初期損失雨量より、人工林管理の田代川流域よりも洪水を緩和する機能をもっていると考えられます。

こんな感じのことを大学4年生の1年間(最初の4ヶ月はホトンド何もやってないけど…)研究してきました(^_^;)


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